ご挨拶
地球は人類の重要な生存基盤です。その地球環境が今、大きな危機に直面していると指摘されています。気候変動、生物多様性の喪失、熱帯林の減少等々、人類の存続の基盤が揺らいでいる感があります。豪雨や大型台風、高温などの異常気象などを肌で感じるようにもなりました。国際社会においても、その強い危機感を背景に、2015年9月の国連持続可能な開発サミットで17の目標を掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。さらに、同年12月のCOP21ではパリ協定が採択され、脱炭素社会に向け世界は動き始めています。日本でも持続可能な循環共生型の「環境・生命文明社会」を目指して2018年4月に第五次環境基本計画が策定され、地域資源を最大限活用し「地域循環共生圏」を創造していくための重点戦略が定められました。
「地域循環共生圏」は地域の環境、経済、社会の課題を総合的に解決していこうとするものです。これはまさに日本版のSDGsともいえると思います。地球環境の危機を回避して持続可能な社会を構築していくためにも、地域からの取り組みがとても重要な役割を担うことになります。
環境の課題は気候変動に対応するために温室効果ガスの削減、資源の有効利用、里山・里海の保全など、経済の課題では地域経済の活性化、技術革新への対応やESG投資※など、そして、社会の課題では災害への備えや少子高齢化などですが、それぞれは複雑に関係しています。このため、自立分散型の地域社会を形成しつつ、地域同士が支え合うことで地域内の誰もが安心して生活し、活躍できる「地域循環共生圏」を創造・構築していく必要があるのです。
特に太陽光、風力、バイオマスといった再生可能エネルギーなど身近な地域の自然資源を活用し、必要なエネルギーを確保する自立・分散型エネルギー社会を目指すことなど、脱炭素社会創出に向けての地域の取り組みは、地球温暖化という地球規模の課題の克服に向けても、日本が先導的なモデルを示す絶好の機会と捉えることができます。
2020年10月には、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現をめざすことが宣言されました。
こうしたことから、当協会では脱炭素化や地域活性化などに積極的に取り組み、政府、地方自治体、団体・企業とも連携しながら、国内での「地域循環共生圏」の構築に資する事業の支援や調査・研究、また情報収集・提供等を行うことで、脱炭素で持続可能な地域社会の実現を促し、さらにそこで生み出される技術や知見を積極的に活かして、国内はもとより世界規模でのSDGsの達成に貢献していきたいと考えています。
※ ESG投資:財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資
代表理事 岡本 光司
代表者
岡本 光司(おかもと みつじ)
1955年 大阪府生れ1979年 大阪大学経済学部卒
同年 京阪電気鉄道(株)入社
2008年 京福電気鉄道(株)常務取締役
2015年 同社 代表取締役社長
2019年 同社 取締役会長
2020年 同社 相談役
2021年 同社 相談役退任
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2019年11月 当協会 代表理事就任